最近気になるのは低アルコール、ノンアルコールの存在です。
コロナを経て、仕事がらみの飲み会が低調になり家飲みが増えてきたと同時に、ノンアルコールの登場回数が増えてきている実感があります。気を使わない飲みの場では酩酊する必要がなく、純粋にお酒の味を愉しむことができるということかもしれません。
日本の酒税法では、アルコール分が1%以上の飲み物を「酒類」と定めています。1%未満のものはノンアルコール飲料で、お茶やジュースと同じ「清涼飲料水」になるのです。0.3%などの微アルコール飲料はコンビニで購入するとき年齢確認がありません。法律上は二十歳未満の未成年者も含め誰でも飲むことができます。アルコール分ゼロであれば、飲んで運転しても問題ありません。
ただ各メーカーは「二十歳以上の人の飲用を想定」と表記し、アルコールじゃないにもかかわらずアルコールと同じ扱いをしていますし多くの小売店も酒類コーナーに並べています。「『本物のお酒を飲みたい』という気持ちを誘発する恐れがある」「責任ある飲酒の推進と不適切な飲酒の撲滅はアルコールメーカーとして大きな責務」ときちんと対応しています。
そもそもお酒の作用には「酔う」という覚醒作用だけでなく、「旨味」の相乗効果で料理をおいしくする作用もありますよね。みりんや料理酒なんてものが当たり前に台所にありますし、日本だけじゃなくワインや紹興酒を加えるレシピ、たくさんありますよね。前回(お酒を愉しむ!⑤居酒屋一番の働き者チューハイ)お話ししたように、日本のどんな食事にも合わせてくるチューハイですが、例えば「抹茶ハイ」は清涼飲料水である「緑茶」とは違います。アルコールに含まれる何かが作用して一緒に食べている料理をさらにおいしくしてくれているんだと思います。酔いたいわけではなく、あの味が好きという理由もあると思うのです。それに応えてくれるのがノンアルコールなんです。
一般的に好まれているビールや焼酎はノンアル系などという言葉まで聞かれるほど、ノンアルコールに対して積極的に取り組んでいますが、それ以外の分野ではまだまだ試行錯誤の真っ最中でしょうか。「出来上がったお酒からアルコール分を抜きました」というだけのものは何か違う感じがします。早く多彩なフレーバーの中から自分好みのノンアルコールが選べるようになってほしいものです。